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1999年夏号

ハマオモト(ヒガンバナ科)

  別名ハマユウ(浜木綿)とも呼ばれ、三重県と宮崎県では県花となっているこの植物の原産地は東南アジア。中国からオーストラリアまで分布している植物です。
  日本には種子が潮流に乗って運ばれたと考えられており、関東南部から以南以西に分布。冬の最低温度がマイナス3.5℃の等温線以南に分布しているため、この線をハマオモト線ともいいます。
  ハマオモトという名前の由来は、葉が厚くて光沢がありオモトに似ているからとか。偽茎(いけい)といって、ネギやタマネギなどと同じように多数の葉柄が幾重にも重なって円柱形の茎のようになるのが特徴です。
  花期は7月頃。花は午後4時頃から咲き始め、満開になるのは真夜中で、香りも最も強くなります。
  本来は砂浜に生える植物ですが、九十九島は砂浜が少ないせいか礫や岩の間にも生育しています。
  種子は海綿状の外皮に包まれ、その下に7層ほどのコルク層があります。そのため海水に浮いて流れ、波が打ち寄せ漂流物が溜まるような場所に多く生育しています。コルク層の下には水分を含んだ組織があり、水のないところでも発芽できたり、分厚い外皮のおかげで海水中で200日以上も生存した記録があるなど生命力の強い植物でもあります。
  このように種子の分散を海流に頼っている植物は、種子が漂着して発芽できるような、なだらかな海岸を必要としますが、最近の護岸工事で種子が漂着できる場所が年々少なくなり、減少の一途をたどっています。
  九十九島のひとつである高島町の北側には、大小200株程の大群落があり、7月には白い花が青い空と海に美しく映えて、とても綺麗です。 
(撮影地/高島)

写真と文 
川内野 善治


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