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大部分のカニは海にすみ、潮間帯から水深200メートルぐらいまでの海底がカニ類の一般的な生息場所です。しかし、長い進化の過程で陸に上がり始めたカニも少なくありません。何種類もの力ニが海から岩礁へ、砂浜へ、干潟へとすみかを広げてきました。
アカテガニは河口から陸をめざしました。淡水になじみなから、ついに陸に上がり、海水から離れたところにもすむようになりました。水田のあぜ道、小川の土手、海岸近くの山際に穴を掘ってすんでいますが、かわいた場所より水がしみ出る場所など湿気の多い所が好きです。
アカテガニの交尾は夏に行われます(最盛期は7〜8月)。交尾から約3週間が過ぎた大潮の夕暮れ、メスはすみかを離れて移動を開始します。残念なことに、このころの海岸ぞいの道路には車にひかれた沢山のアカテガニが見られます。
1匹のメスは2〜3万個の卵を抱いています。満潮の時間が過ぎ、潮が引き始めるとメスは波がよせる岩場に行き、波が来るのを待ちます。そして、波が押し寄せた瞬間、激しく体を振動させ腹部をあおります。このとき卵の殻が割れてゾエア幼生がいっせいに泳ぎだします。この間わずか3〜4秒。幼生は白い煙のように海中に散っていきます。何度見ても生命の神秘を感じます。
ゾエア幼生は、自力で泳ぎ、海中のプランクトンをえさにして育ちます。 約1ケ月後に、メガロパ幼生というカニに近い形の幼生に変態します。メガロパ幼生から1週間ぐらいたつと、海岸や河口の小石の下などで殻を脱いで、最初の幼ガニになります。
私の所属する「ふるさと自然の会」では、毎年のこの時期に幼生放出の観察会を実施しています。50人近い人々が生命誕生の感動的な一こまを見に来られます。
■写真と文:川内野 善治
■写真説明:放たれたゾエア幼生が広い海に散らばります。はたしてこの中の何匹くらいが親になれるのでしょう。
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