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ヤブツバキは東北以西の暖地に生育する常緑の小高木で、照葉樹林の代表的な種です。
ツバキの名の由来は葉に艶があることで、ツヤバキからツバキと言われるようになったと言われています。
ツバキの仲間には、サザンカ、サカキ、ヒサカキ、モッコクなどがあります。意外に思われる方も多いと思いますが、皆さんが毎日飲んでいる「茶」もツバキ科に含まれます。チャの花を見られたことのある方は「なるほど…」と納得されるのではないでしょうか。
ヤブツバキは海岸から山地まで広く分布していますので各地で見られますが、どちらかと言えば海岸に多い樹木です。佐世保の海と言えば九十九島を思い浮かべる人が多いでしょう。もちろんここにも多く、冬の澄んだ海と相まって深紅の花が島々を飾っています。
花は3月が最も多く見られますが、12月から4月までずっと咲いており、冬の花の少ない時期にも私たちの目を楽しませてくれます。野鳥のメジロやヒヨドリにとっては無くてはならない花で、ツバキの蜜が冬の間の大切な餌となっています。一方ヤブツバキにとっても花粉を運んでくれる大切なお客さんです。ですから、このころのメジロやヒヨドリの嘴付近は花粉で黄色く染まっています。
私も子供のころは随分とツバキの蜜を吸ったものです。そして「コラッ!カタシのならんごとなるやっか!」とおこられたものです。以前は種子(カタシ)からツバキ油を採っておられる方が多かったと思いますが、現在では五島や福島など名産地で生産されるのがほとんどでしょう。また材は肌目も木目もち密で、将棋の駒、そろばん玉、木魚などと用途は広いものです。また、ツバキはアルミニウムを多く含んでいるので、染色の際の媒染剤として灰汁が利用されていました。
今では花を愛でるだけのヤブツバキですが、少し前までは私たちの生活に密着した樹木だったのです。
■写真と文/ふるさと自然の会 川内野 善治
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