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2006年春号サイト69号

ハハコグサ(キク科)

 道端、畑、水田、庭などいたるところに生える2年草です。冬の間は葉を地面に広げたロゼットですごし、暖かくなると一気に伸びて15〜30pほどになります。在来種だと思っていましたが、古代農耕文化とともに中国から伝わった帰化植物だそうです。
  昔からなじみの深い植物だったせいか、色々な地方名があります。熊本では花をアワゴメと呼ぶそうです。これは花が細かい黄色でツブツブした感じをうけ、まるでアワのように見えるからです。モチグサと呼ぶ地方もあります。ヨモギ餅を作る習慣の無かったころ、この草を餅につきこんでいたからでしょう。今でも東北では花を餅や団子に混ぜて食べるそうです。また、新潟県と山口県では葉をネコノミミと呼ぶそうです。柔らかく綿毛の生えた葉をネコの耳に例えたのでしょう。
ハハコグサの名は平安初期から使われています。今でも白いものはけがれを清めるといわれていますが、平安の頃は白い布や紙が高価であったために、庶民は白いハハコグサで身体を撫で、けがれや罪の形代として川に流したと推測されています。同じような目的でナズナも利用されており、撫菜(なでな)が転じてナズナになったと言われています。
さて、ハハコグサと聞けば、ほとんどの方が春の七草を思い浮かべることでしょう。七草はセリ・ナズナ・ハハコグサ(ゴギョウ)・ハコベラ・スズナ・スズシロ・ホトケノザですが、これは昔、四辻の左大臣が詠んだ歌、「せりなずな ごぎょうはこべら ほとけのざ すずなすずしろ これやななくさ」に挙げられているものです。
  また、「資源植物図鑑」によれば、七草はむかし京畿内の七カ所の「野」からそれぞれ1種ずつの「若菜」を貢進させ、それによって「七草」の供御(くご)をととのえて奉る慣例によるものだそうです。そしてその七カ所の野と、そこから貢進した若菜は吉野:せり、北野:なずな、紫野:ごぎょう、焼野:はこべら、嵯峨野:ほとけのざ、平野:あさつき、交野:かぶら。
  ハハコグサは七草に数えられているものの食べてみるとおいしいものではなく、テンプラにすればなんとか食べられるくらいです。どうして七草に加えられたのか理解に苦しむところです。
  チチコグサという植物もあります。これもたいていのところで見られます。図鑑を片手に探してみてください。思いがけない春も見つかるかもしれません。 

■写真と文/ふるさと自然の会 川内野 善治 

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