あたらしい三川内焼をつくる、つなぐ、つたえる。新世代の思い。
400年以上続く三川内焼。その伝統を受け継ぎながら「これから」を見据えて活動する、あたらしい三川内焼の担い手たちがいます。いまの感性であらたな魅力を生み出す、若手のつくり手3名に三川内焼への思いを伺いました。
三川内(みかわち)焼とは
約400年以上もの歴史を誇る、国の伝統工芸で佐世保の特産でもある「三川内焼」。江戸時代に平戸藩の藩主・松浦公のための器や献上品をつくる御用窯がつくられ、採算を度外視した手の込んだやきものを残しました。豊かな自然と、伝統の技巧、繊細な感性によって培われた「三川内焼」は、白磁に藍色で唐子を描いた「唐子絵」をはじめ、光に透けるほど薄い「卵殻手(らんかくで)」、華やかな模様をほどこした「菊花細工」「透し彫り」など、御用窯の名にふさわしい豪華なやきものが作られ、国内外で人気を博しています。 現在は14の窯元が、伝統を大切に守りながらも、今の暮らしになじむやきものづくりを続けています。
産地となる三川内の里は、陶磁器に欠かせない陶石、燃料となる木が茂る山、豊かな河川の水など豊かな自然に囲まれています。登窯跡やトンバイ塀、やきものを運んだ馬車道、窯元の煙突など、古き良き日本の原風景がそのまま残る街並みは一見の価値アリ!
あたらしい三川内焼をつくる、つなぐ、つたえる。新世代の思い。
400年の伝統を受け継ぎながら「これから」を見据えて活動する、あたらしい三川内焼の担い手たちがいます。いまの感性であらたな魅力を生み出す、若手のつくり手3名に三川内焼への思いを伺いました。
人と人とをつなぐ人 / 嘉泉窯 金氏健多さん
人と人とをつなぐ人 / 嘉泉窯 金氏健多さん 人懐っこい笑顔とユーモアで、常に周囲を和ませるムードメーカーの金氏健多さん。ふるさと三川内という産地をもっと多くの人に知ってほしいと、絵付け体験受け入れに取り組む金氏さんは、三川内焼のベテラン世代と若手世代をつなぐキーマンでもあります。
動画で伝える、器の背景 / 平戸松山窯 中里彰志さん
平戸松山窯に長男として生まれ、自然と焼き物の道に進んだという中里彰志さん。制作に取り組む傍ら、地元の友人たちとYouTubeチャンネルを運営。三川内焼の歴史や器づくりの背景などをわかりやすく発信し、三川内焼の新たなファンを生み出しています。
新しい風をつくる移住者 / 作家 林民和さん
作家の林民和さんは、三川内焼の作り手として初の移住者。3年前に移住してからというもの、同じ三川内の若手とともに、新しくも心地のよい風を吹かせています。林さんのかわいがる猫たちが自由に出入りする、静かな工房でお話を伺いました。
三川内皿山の見どころ
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三川内焼伝統産業会館(三川内焼美術館)
もっと見る「三川内焼」の伝統的な技法や、窯元による作品を鑑賞し体感することができる施設です。「古平戸」といわれる「三川内焼」のなかでも古い時代に作られた超絶技巧の逸品は、他では目にすることのできない貴重なものばかり!館内では、絵付けや透かし彫り体験ができます(有料、要問合せ)。
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うつわ歴史館
もっと見る世界最古の土器「豆粒文土器」から現代の「三川内焼」まで、佐世保の歴史を焼き物の観点から学ぶことができます。焼き物の出土品やパネルのほか、ジオラマや映像など種類豊富な展示が魅力です。
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陶祖神社
もっと見る「陶祖(とうそ)神社」には、その名の通り、「三川内焼」の祖・如猿が祀られています。彼は、今村三之丞の子にあたり、「三川内焼」の原料となる天草陶石を発見し美しい白磁の焼成に成功しました。「三川内焼」を発展させた人物です。毎年5月には「はまぜん祭り」が行われ、焼き物を焼成する際に必要な「はまぜん」を供養する式典が行われています。
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トンバイ塀・馬車道
もっと見る「トンバイ」とは、登り窯を築く際に、レンガ状に粘土を積み上げたもの。長く窯を焚いていると、トンバイに飛んだ灰が発色し、独特の美しい風合いを作り出すのだそうです。そんなトンバイと、使い捨ての窯道具を赤土で固めて作った塀を「トンバイ塀」といいます。
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さるのあしあと
「三川内焼」の歴史とその技の魅力を伝えるギャラリー。オーナーが独自に収集した「三川内焼」のコレクションを鑑賞したり、一部購入することもできます。
住所:佐世保市三川内町745-1
営業時間:金~月曜 10:00~15:00