「弱虫ペダル」渡辺航先生が語る、海風と坂道のまちーペダルを漕いで見えた佐世保の風景
10月10日、佐世保市で開催された「マイナビ ツール・ド・九州2025 佐世保クリテリウム」。また、2026年10月9日(金)にツール・ド・九州が開催することも決定いたしました!
人気漫画「弱虫ペダル」の作者・渡辺航先生がゲストとして参加され、トークショーやスタートセレモニー、観戦、サイン会と、一日を通してイベントを盛り上げてくださいました。
イベントの合間には九十九島の絶景や艦艇が停泊する港など、佐世保のサイクリングコースを巡っていただきました。さらに、この日からスタートした「弱虫ペダル」×佐世保のコラボ企画の目玉「弱虫ペダル」コラボ佐世保バーガーも実食!長崎県出身の渡辺先生に、佐世保の思い出や自転車で巡る魅力についてお話を伺いました。
渡辺航先生プロフィール
渡辺航(わたなべ・わたる)先生
長崎県出身。3月9日生まれ。MTBやロードバイク、小径車など自転車をこよなく愛する生粋のサイクリスト。週刊少年チャンピオン(秋田書店)にて累計発行3200万部を超える超人気ロードレース漫画『弱虫ペダル』を、別冊少年チャンピオンにて『弱虫ペダル SPARE BIKE』を同時連載中!
アーケードとカレーの思い出
――渡辺先生は長崎県出身でいらっしゃいますが、佐世保の思い出を教えてください。
佐世保には親戚の家があって、子供の頃からよく来ていました。当時の印象は、とにかく「アーケードが大きい!」ということでしたね。1㎞近くもあるアーケードを見て、「佐世保は大都会やな」って思っていました(笑)。
学生時代になってからは、美味しいカレー屋さんを目当てに車で来たりしましたね。佐世保はちょうどいい距離の日帰りドライブスポットだったんです。
――今回は5年ぶりの訪問とのことですが。
そうですね、コロナ前以来です。今回は朝4時半くらいに実家を出発して自転車で来ました。久しぶりの佐世保を、本当に楽しみにしていました!
海と山が近い、佐世保の自然の魅力
今回、渡辺先生には「SASEBOサイクリングモデルコース」の一部を実際に巡っていただきました。
――九十九島パールシーリゾートを訪れての感想はいかがでしたか?
素晴らしかったです。実は過去にも車やバイクで九十九島周辺はよく巡っていたんですよ。高台から見る島々が浮かぶ景色は本当に感動的でした。波がなく、島々が点在する海はめったに見られない景色です。
――佐世保ならではの地形の魅力はありますか?
海から山がすごく近いんですよね。これが独特なんです。関東に住んでいると、自転車で登れるような山は群馬や茨城、箱根まで行かないとありません。でも佐世保は山があって、緑があって、海がある。
入り組んだ地形なので、走っていると景色が次々に変わっていきます。狭い道を抜けると、急に視界が開けて海が目の前に広がる瞬間など。そういう発見があるのが最高ですね。
――自転車で走ると、また違った魅力がありそうですね。
本当にその通りです!自転車は自分の足で汗をかきながら坂を登っていきます。だから景色が見えたときに、「この景色を自分の足で獲得した」っていう気持ちになれる。ほかの乗り物では得られない達成感を得られます。
匂いとか温度とかを自分の肌で感じながら走るので、五感で楽しめるのが自転車の魅力ですね。この変化を自転車で体感したら、きっと最高だと思います。
港まちの歴史と造船所の風景
――佐世保港や艦艇が見える風景はいかがでしたか?
あの大きなクレーンが立ち並ぶ造船所の風景、すごいですよね。中心部からすぐの場所で造船所が見えるのは、なかなか他にはない景色ですよ。艦艇が停泊する港の風景からは、日本遺産「鎮守府」としての歴史も感じられます。
アメリカと日本の文化が融合した独特の雰囲気もありますね。長崎市とはまた違った異国情緒のあるまちだなと感じました。
坂のまち、佐世保の魅力
――自転車漫画の作者として、佐世保の道はどんな魅力がありますか?
実は坂道は自転車乗りにとって最高の道なんです。僕は関東で自転車に出会い、始めたのですが、長崎に自転車を持って帰ってきたときに「こんないいところに住んでたんだ」って改めて思ったんです。
佐世保の峠って、基本的にそんなに長くないんですよ。峠を越えるたびに景色が変わるので、走っていても飽きません。それに、自動車運転手の自転車のよけ方も上手なんです。お互いに尊重し合いながら道を走っている感じがして、走りやすいですね。
――電動自転車も普及してきていますね。
そうなんです!電動自転車なら体力の差があっても、乗ることができます。斜度のある登りだと、スポーツバイクが時速12、3㎞しか出せないところを、電動自転車は時速20㎞ぐらいでワーッと登っていく。電動になったことで気軽に自転車を楽しめるようになってきましたね。
――もし「弱虫ペダル」のキャラクターたちが佐世保を走ったら?
やっぱり海沿いを走りたいですよね。総北の6人がローテーションしながら颯爽と走るっていうのが、いいイメージですね。佐世保は景色の変化が本当に豊かなので、いつか佐世保を舞台にできたらいいなと思っています。
「弱虫ペダル」コラボバーガーを実食!
今回はコラボ企画として佐世保バーガー専門店5店舗に、それぞれ主人公が通う「総北」メインカラーの黄色やライバル校「箱学」の青色をテーマに工夫を凝らした佐世保バーガーを作っていただきました。そしてご当地ドリンク「クールソフト」を片手に、2つのバーガーをペロリと召し上がってくださいました。
――佐世保バーガーのコラボはいかがでしたか?
いやもう本当にありがたいです。僕、「佐世保バーガー」っていうワードを聞いた瞬間からテンションが上がっちゃって(笑)。長崎の人間からすると、佐世保バーガーはちょっと特別な存在なんですよね。
どのお店でも同じ味ではなく、それぞれ違った個性のバーガーが楽しめます。そういった多様性にも魅力を感じます。
――クールソフトもご当地ドリンクなのでぜひ!コラボグッズもぜひお持ち帰りください。
ありがとうございます。
とっても飲みやすいですね!給食に出るんですか?(出ないです)。あ、そうなんですね。
甘いけどすっきりとした味でさわやかですね!ライド中の補給にもよさそう。
ファンの皆様へ―佐世保を全身で感じて
――コラボ企画の見どころと、ファンの方々へメッセージをお願いします。
デジタルスタンプラリーが12か所で展開されていて、声優さんの特別ボイスも楽しめます。サイクルマップもありますので、ぜひ自転車で自由に巡りながら楽しんでいただきたいです。九十九島コースなんて、高低差もあって景色も最高だと思います。
――最後に、佐世保を訪れるファンの皆様にメッセージを。
佐世保は美味しいものがたくさんあり、景色も美しく、新しい発見があるまちです。ぜひぜひ佐世保を全身で感じて、自転車に乗って楽しんで帰ってください。本当に素敵なまちですよ!
編集後記
取材を通し、渡辺先生の佐世保への愛着と自転車への情熱が伝わってきました。インタビュー後、先生は「実は今回、早岐瀬戸も楽しみの一つだったんです」と語ってくださいました。日本一狭いといわれる幅15メートルほどの瀬戸で、渦潮をご覧になったそうです。「目の前で見られて感動しました。サイクリングコースとしても魅力的な場所ですね」と目を輝かせてお話くださいました。
「弱虫ペダル」×佐世保のコラボ企画は2025年11月30日まで開催中です。渡辺先生が体感した佐世保の魅力を、ぜひ皆様も味わってみてください!